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スマートスイミングの全体構成 |
内容 参考 | 基本技術 (フローティング サークルスカーリング フィンワーク スクリューモーション アーチブレス) 補助技術 (ストレッチ 3拍子のリズム コンビネーション 陸上練習) 全体構成 |
スマートスイミングは、自然の原理を利用して、きれいに速く泳ぐ方法です。
体系として次のような基本技術と補助技術があります。
基本技術
1 | フローティング | 下半身を浮かせる技術です。 (スマートスイミングの基本姿勢です。) | |
2 | サークルスカーリング | 手の翼で大きな推進力を出す技術です。 (小さな力で速く泳げます。) | |
3 | フィンワーク | 足のフィンで軽く速く進める技術です。 (高速域でも加速力が得られます。) | |
4 | スクリューモーション | 高速域に入れる技術です。 (スリップ現象が快適です。) | |
5 | アーチブレス | 簡単に楽に呼吸できる技術です。 (魚になった気分で泳げます。) |
1 フローティング (Floating)
下半身を浮かせて、抵抗の少ない泳ぎをするための基本技術です。
「肩甲骨の間の背骨を反らせて」、背中を沈めることによって、「肺の浮力」を利用します。
同時に頭を上げることによって、下半身が浮き上がり、水平姿勢がとりやすくなり、軽い力で速く進むことができます。
【フローティング姿勢のとり方】
- 肩甲骨の間の背骨をそらせて耳を上に上げます。
- 顔を斜め前に向けて額とマユの間が水面を切るようにします。
- 視線を前に向けて、視野の上側に水面が入るようにします。
- おなかの所の背骨はまっすぐにしておきます。
【フローティングのメリット】
- 水平状態を維持できて、抵抗の少ない泳ぎができます。
- 下半身を浮かすためのキックが不要になり、フィンワークが使えます。
- 力を使わないで浮いていられるので泳ぎが楽になります。
完全に浮かなくても、ある程度の時間浮けば問題ありません。
泳ぎ出せばサークルスカーリングやフィンワークで下半身が浮きます。
泳ぎ出してもフローティング姿勢をとることによって水平状態を維持できて、軽い力で速く進むことができます。
【下半身が浮く原理】
肺には、息を吐いたときでも空気が残っていて「肺の浮力」が発生しています。このとき背中が水面から出ていますと、背中が出た分だけ肺の浮力が小さくなります。逆に「肩甲骨の間の背骨をそらせて」背中を沈めると「肺の浮力」は大きくなります。
肺の浮力が十分働いている状態で、頭を水面上に上げますと、頭の重さの反力で下半身が浮きます。
【泳ぐと沈む?】
スカーリングの仕方が悪いと、いくらフローティング姿勢をとっても、水を下に押さえる力によって上半身が立って下半身が沈んでしまいます。
フローティング姿勢を維持するためには、下半身が浮くサークルスカーリングを使います。
【泳ぎ出したら?】 スノーボードでバク転を行う方法 | 泳ぐ時は体の中心が下がります。 | ||
肩や腰が左右に傾きますので、水面にでる頭の部分は少なくなりますが、 それでもできるだけフローティング姿勢を維持することが大切です。 |
【猫背姿勢】
「肩甲骨の間の背骨」が丸い猫背姿勢だと、下の図のように、背中が浮き上がってしまい、「肺の浮力」が小さくなってしまいます。
この状態で、頭だけを上げると、全体的に浮力が小さくなって、更に下半身が沈んでしまいます。
【背中のストレッチ】
日常、斜め下を向く仕事が多いので、習慣としてどうしても前かがみになります。その姿勢のままプールに入ると、自然と、背中を丸めて下を向いてしまいます。
背骨を伸ばすストレッチ運動によって、抵抗の少ないフローティング姿勢がとれるようになります。
2 サークルスカーリング (Circle Sculling)
手の平で水の斜面を滑らせて、軽い力と、少ないエネルギーで、大きな推進力を出す技術です。水の斜面を利用します。
【手の形】
このスカーリングは、手の形がとても大切です。グーやパーやおわん型では効果が出ません。下の1図のように手の平は指を閉じて机の上にぴたっと付けた翼形状にします。
【手の感覚のつかみ方】
2図のように手の平を、水に対して20度〜30度の角度で滑らせて斜面を滑る感覚をつかみます。この現象は高速の時だけに起きるものですので、速く動かして感覚をつかみます。 参考 Fluent社のCG画像
【手の翼の動かし方】
3図のように手の平をほぼ真後ろに向けて、体から見て55度くらいの方向に斜めに掻きます。
このように、体に対して55度の方向に掻きますと、掻く速さの半分くらいの速さで体が前に進んで行きますので、静止水に対しては、20度〜30度の 角度で手の平が斜め下に動くことになります。その結果2図を30度くらい左に回した状態になり最大合力の水色の矢印が真上を向きます。
手の平の最適な向きは3図のように真後ろに対して5度くらい傾けた所ですが、一般的には真後ろに向けて55度の方向に動かします。
【サークルスカーリング】 腕は肩を中心にして動くものですから、上の3図のように動かし続ける事はできません。
そこで、右の図のように円筒面上の円弧に沿ってスカーリングします。 この曲線を描くことによって、手の翼を斜めに動かすことができます。 (手が肩を中心とした円を描いきますのでサークルスカーリングといいます。)
肩の外側から掻き始めて、体の下でターンして、外側の水面上に上げていきます。 掻き始めと中間の切り替えしと掻き終わりの時に、手の平の角度を少し変える事によって、最初から最後まで連続して推進力を出すことができます。
サークルスカーリングには次のようなメリットがあります。
各部の掻き方は次のようになります。 ジェームズ川にナマズをキャッチする場所 | 緑の矢印が体の中心軸でピンクの曲線が サークルスカーリング曲線です。 |
(1)掻き始め: | 手の平を外側(真横)に向けた状態から、少し斜め後(30〜45度くらい)に傾けて、 肩より少し外側から、プールの底に向かって真下に(手の平1つ半)滑らせます。 |
(2)前半部: | 直ぐに斜めの曲線に入り、手の平を真後ろに向けて内側に滑らせていきます。 水の斜面を親指から小指に向かって滑らせていきます。 |
(3)中間部: | 体の下の中央部(肩のレベル)で、内側から外側へとターンをします。 ターンをする時に手の平を少し外側に傾けてターンをします。 |
(4)後半部: | 直ぐに斜めの曲線に入り、再び手の平を真後ろに向けて外側に滑らせていきます。 水の斜面を小指から親指に向かって外に上に滑らていきます。 |
(5)掻き終わり: | 水面近くで手首を軽く伸ばして外側の水面上に飛び出していきます。 |
(6)浮力の発生: | 下半身を浮かせるために、中間部から後半部にかけて手の平をわずかにプールの底に向けます |
3 フィンワーク (Fin work)
足を、魚のフィン(尾ヒレ)のように動かして、水の斜面を「後ろにだけ押す」技術です。間歇的にけらないで、ひらひらと滑らかに動かします。
足が疲れないで、軽く進むことができて、高速時でも加速力が出て、抵抗が少なく魚のように楽に速く進めます。
【キックとの違い】
プールの底に向かって水を蹴るキックや、下に打ちつける「むち打ち」とは違います。キックは迫力があって泳いだ気持ちがするかもしれませんが、キッ クは、後ろに渦をたくさん作ってこの渦を引きずるために、高速になると速度の2乗に比例した抵抗が働きブレーキになります。またキックは水を無理やり上下 に動かしますので足が非常に疲れます。
【フィンの形の作り方】
下の図のように、親指を内側に曲げて、足の軸から外れた青い部分のフィンを使います。
青い部分のフィンの断面は斜め下の図のように翼形状にします。
指を開いたり曲げたり反らしたりしないで、足の平を床にぴったりつけた平らな形にします。
【フィンの動かし方】
水の斜めの壁をに後ろに押すために、「T字プッシュ」という方法を使います。
【T字プッシュの方法】
- すねのA点を右の図のように、やや傾いた T 字の軸の方向に向かって後ろにプッシュし、次に足の平の先のB点をT字の頭の円弧に沿って後ろにプッシュし、この動作を左右交互に繰り返します。
- このようにA、Bの方向だけに力を加える事によって、水の斜面を「後ろにだけ」押すことができ、中心を超えると自動的に力が抜けます。
- フィンの表面を水が流れる感触になるように押します。
- フィンの動きは、水の流れを乱さないように、ひらひらと滑らかに動かします。(むちやサッカーのように急激に蹴らないようにします。)
- 終端(エンド)までいってから切り返さないで、早目に切り返します。(揺れる水を押し返してフィンの効果を大きくするためです。)
- 高速で泳ぐときは、フィンの傾き角を大きくしないで、ピッチを速くします。
- 下半身を浮かせる力は弱いので、サークルスカーリングが必要になります。
【ドルフィンキックの方法】
「ドルフィンキック」も同じ原理で、フィンワークを両脚同時におこなえばドルフィンキックになります。みぞおちから上の上半身を動かないように固定してしておいて、フィンの反動で「股関節」を滑らかに上下させます。 (バタフライではないので頭や肩を上下に動かすうねり運動は使いません。)
4 スクリューモーション (Screw Motion)
肩と腰の面でスクリュー運動をすることによって推進力を出して、高速域に入る技術です。
優れた長距離ランナーになる方法
一般に腰のローリングが大切と言われていることです。スクリューモーションはローリングを効果的に行なうための方法です。
【スクリューモーションの方法】
方法は単純で、先に肩を回転させて、それより少し遅れて腰を回転させます。 右の図は、1 ストローク=0.9秒で泳ぐ場合のスクリューモーションの動きです。 他のピッチの例→ 1 ストローク= 0.65秒 1.30秒傾ける角度は、 45度以上 傾けます。右の図は55度になっています。 | Screw Motion | |
【高速域に入れる理由】
体自体が、水を後方に押しますので、推進力が出ると同時に、抵抗が減少して、高速域に入る事ができます。
特に、沈み込みステップから上昇ステップにかけて、"スリップ現象"がおきると水の抵抗が減少して水の隙間に吸い込まれる感じになります。
【コンビネーションの覚え方】
スカーリングやフィンワークとのコンビネーションは難しそうに見えますが、陸上のコンビネーション練習によって簡単に覚えられます。(水中練習だけで覚えるのは非常に難しいです。)
Paul Biedermann 2009 Janet Evans動画 Michael Phelps動画 Oussama Mellouli動画 Kate Ziegler動画
5 アーチブレス (Arch Breath)
頭を45度くらいに傾けた状態のまま、目線を、プールの正面の壁から、アーチ(円弧)を描いて横に向ける呼吸方法です。顔が真横に向くときにあごを上げて頭の傾きを20度くらいに寝かします。戻す時はこの逆の動きになり、アーチを描いて戻します。
頭が水面上に出たまま頭を回しますので、楽に呼吸ができ、フローティング状態を維持できて、下半身が沈まなくなります。
【アーチブレスの方法】
- 頭は掻き始める一瞬前から、目線でアーチを描いて、素早く、くるっと回転させます。
- 頭を戻す時は、目線でアーチを描いて、目線を水面すれすれに戻します。
- 水中では息を止めないで思い切りたくさん吐き続けて、水上では思い切りたくさん吸います。(陸上のマラソンと同じです。息は止めません)
- 鼻が水面に出る瞬間に、ぱっと吐いて鼻や口の周りについている水を飛ばします。
- 次の瞬間に直ぐに、深呼吸して、思い切りたくさんの空気を吸います。
- 戻す時には、鼻が水面に入る時から息を吐き始めます。
- 大事なのは水中で思いきり吐ききることです。最初は息を吐ききるのはすごく不安ですが、いくら吐ききっても、肺の中には残気量といって1リットルくらい空気が残っています。古い空気はできるだけたくさん出しきって入れ替えた方が酸素効率がよくなります。
補助技術
1 | ストレッチ | 必要な体の動きを柔らかくするためのストレッチです。 | |
2 | 3拍子のリズム | 全ての動作を一致させるリズムです。各部を3拍子で動かします。 | |
3 | コンビネーション | 複数の動作を組み合わせるコンビネーションです。 | |
4 | 陸上練習 | 地に足が着いているので、5つのコンビネーションを連動して簡単に早く覚えられます。 |
1 ストレッチ (Stretch)
クロールは体の柔らかさが重要なスポーツです。 中でも肩甲骨の間の背骨をそらせるストレッチは、下半身を浮かせて水の抵抗を少なくするために重要です。 腕を後ろに曲げるストレッチも、サークルスカーリングの推進力を大きくするために重要です。 すぐに効果が出なくても、続けていると、だんだんやわらかくなってきます。 |
2 3拍子のリズム (3 beat Rhythm)
サークルスカーリング、フィンワーク、スクリューモーションとも、3拍子のリズムに乗せる事によって、作用反作用が一致して効果的に泳げます。 日常生活は、偶数ビートで暮らしています。3拍子のリズムで体を動かすことには慣れていませんので、特別に体で覚える必要があります。 |
3 コンビネーション (Combination)
スマートスイミングの基本技術は、一つだけでも効果はありますが、5つの技術を組み合わせることによって相乗効果が生まれます。 一つの技術が他の技術に必要な反作用を生み出すからです。コンビネーションがずれると各技術の効果が十分生かされなくなります。 少しずつ組み合わせて覚えていきましょう。 |
4 陸上練習 (Land Training)
5つの基本技術は、陸上生活の動作とは、感覚的にまったく異質の動作です。 この異質の動作を、陸上で暮らす人間が水中で覚えるのは、姿勢が安定しないし、息をするのも大変で、 しかし得意の陸上で、立った姿勢で練習すれば、姿勢も安定でき、息も楽にできて、簡単に覚ることができます。 【陸上練習の方法】 陸上練習でコンビネーションの動きを体で覚えておきますと、後はそのまま水中で同じ動作をすれば、 (他のスポーツでもそうですが陸上の練習は人目のじゃまになりますので自宅でやるようにしましょう。) |
スマートスイミングの全体構成
基本技術 と 補助技術 を合わせた全体構成は次の図のようになります。
水泳 方法 クロールの技術 自由形 速く泳ぐ方法 け伸び クロールの呼吸 スカーリング 掻き方 S字スカーリング キャッチ エントリー 入水 息継ぎ スカーリングプル プル プッシュ ストローク リカバリー 水泳のクロール 2ビート ドルフィンキック クロール 泳ぎ方 けのび クロールの泳ぎ方 ローリング 姿勢 練習方法 ビート板 プルブイ クロールの息継ぎ 呼吸 基本 |
2007.03.30 - 2007.09.22 - 2009.08.08
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